ダイビングのライセンスを取得しようと考えた時に気になるのが、その取得にかかる費用です。
ダイビングはどちらかというとお金がかかる方の趣味。1回シューズを買って、あとは走る、というランニングとかと異なり、器材を買って、海に出かけて、空気ボンベを借りて、、、、と何かとお金がかかるポイントがいくつもあります。
ダイビングにまつわる費用の内訳として大きなものを考えてみると、一つにはライセンスの講習自体のコストがあり、次にダイビングを行うための器材のコストがあります。
ダイビングはいわゆる「器材スポーツ」と呼ばれるカテゴリーにあたり、パラグライダーやロードバイクと同じように器材がないとできないスポーツになります。
しかし、始めての人にとっては器材の購入の時期はお悩みどころです。
- 器材をいつ購入しないといけないの?
- 器材ってどのくらいお金がかかるの?相場は?
- ダイビングライセンスを取得する前に全て揃える必要があるの?
- どの器材は後で購入すればいいの?、あるいは買わなくてできるの?
このような疑問をお持ちの方が多数だと思います。
何もかも初めてのこと。何が必要なのか、そもそも買わないとできないのか、いろいろわからないことだらけですよね。
特に器材は、最初からどこまで揃えるか、どれをレンタルするかで費用が大きく変わりますので、悩ましい要素です。
ここではダイビングライセンス取得時の器材の必要性と費用について、ご紹介いたします。
目次
器材購入は必須ではない
まず、始めに言えることは、必ずしもダイビングライセンスの取得の際に器材をフルセットで購入しなければいけないということはないし、また大半の人がフルセット器材購入をしているわけでなく、レンタルをうまく活用している、ということです。
ダイビングをやろう!と思い立ち、器材を揃えるぞ!と気合を入れてみたものの、費用の見積もりを見てみて、ちょっとモチベーションを下げるパターンもよく見かけます。たしかに安くはないのです。
ダイビング器材は特殊器材ですし、生産数も少ないことが一般的なので、量産品と違って費用面で安くはならず、割高になりがちです。基本的に、ダイビング器材はそれなりに値段はする、と思っておいたほうがよいでしょう。まして、水中環境で安すぎるものに命は預けられないという側面もあります(粗悪品は少なくなったとは思いますが。。。。)
ただし、そこは海という特殊環境でやるスポーツなので(登山とかスキーも同じですね)、命を預けるという意味では甘く見てはいけないところです。
あとよく見かけるのは、器材をどうにか安く購入しようとして自分で調べて買う人。これもお勧めはできません。まず調べたとしても間違って買ってしまうパターンがあります。例えば、安いと思って買ったウェットスーツの厚みや素材が保温性に耐えられないもので、実際に海に入ったら寒くてブルブルになってしまった。。。なんてことも。これ、実話です。
安いことは問題ではないんですが、本当に必要な器材や性能がないものを誤って買ってしまうリスクがあります。したがって、最初の段階、少なくともダイビングを始める前にいきなり器材を揃えようと”頑張りすぎない”ことが大事です。
まずは海とダイビングを体験する。それで信頼できる専門家に相談して、じっくり考えてから買う。これが一番です。最初から器材購入は必須ではない、これを覚えておきましょう。
ちなみに、ときどきライセンス取得講習費用はかなり安価になっているけれども、よく見てみると器材購入が条件になっている場合もあります。ダイビングをずっと続ける方で、器材購入はしたいと考えている方には問題ないですが、とりあえず様子を見ながら器材購入を考えたい人にとっては、この条件は足かせになります。ライセンス講習の申し込み前には、必ず何が条件になっているか、よく確認しましょう。
器材はいつから揃えていくのが一般的か
最初に書いたとおり、ライセンス取得講習の前にすべての器材を揃える必要は全くありません。
ただし、人によってはどうしても「マイ器材がいい!」という人もいます。「形から入るんです!」という人も。はい、もちろん理解をしておりますが、そんなに安い買い物ではない器材購入なので、じっくり考えていただくのがいいかと思います。
多くのダイビングスクールでレンタル器材を講習時や講習以外のダイビングで貸し出しています。もしレンタルを希望される場合は、レンタルサービスを提供しているかは念のため確認しましょう。
では、いつから器材を揃えるか、という話ですが、これは本当に人によって様々です。
最も多いのは、ライセンス取得講習中または講習後のダイビングに向けて、マスクやシュノーケル、フィンなどの最低限の器材を購入され、徐々に買い足して、最終的に全ての器材を揃えられるパターンです。
次いで多いのは最低限の器材に加えて、ウェットスーツやドライスーツを購入されるパターン。スーツはダイビングを行う上では必須で、体のサイズに合ったものを使うほうがより快適になるので、こちらをその他の器材に優先して購入される方が多いです。
一気にすべての器材を買い揃える方も少なからずいますが、少数派です。
その他としては、BCDやレギュレーターなどの比較的高価な器材から購入されるパターンも稀にありますし、写真器材(水中カメラなど)を優先されることも。しかし、これらは稀な選択肢です。
ということで、多くの方は段階的に優先順位を決めて買い揃えていくというパターンとなりますが、実はこれがベターな選択肢とも言えます。なぜなら、ダイビングをやればやるほど、器材の扱いにも慣れてきますし、器材による違いも分かってきます。
実は器材も初心者向けから上級者向けまで幅広く種類があり、当然値段も違います。
ただ、高いから良いということではありません。
ダイビングが上達してくれば、より快適性を求めて上位の器材を使いたくなることもありますし、逆に上位器材は体に合わなくて初級~中級くらいの器材のほうが快適ということもよくあります。実例として、ダイビングのプロになっても、使っているフィンは初心者向けと同じ、というパターンもあります。
自分のダイビングスタイルや体に合ったものが一番です。
それを理解する前に購入して後悔するのだけは避けたいところです。
もしレンタルをされる場合は、ショップにお願いして同じ器材でも違う種類を使わせてもらうとか(種類とサイズが合えば、ですが)、そういったことも検討してみましょう。レンタル完備をうたっているダイビングスクールやショップであれば複数の種類を持っていることもあります。
レンタルか購入か、器材の考え方を決めるもの
レンタル器材にするか、器材を購入するか、をどう決めるか。
まずは、そもそもレンタルがないスクールやショップでライセンス講習を受けるとかダイビングをする場合は、選択肢はありませんので、そこはレンタルがあるところのほうが選択肢が増えます。
ついで、レンタルはあっても体に合わないパターン(身長が2mとか。。。)もあり得ますので、どのサイズまであるかを。しっかり確認しましょう。
器材を購入するかどうかの決め手は、ダイビングをどのくらい本気で、且つどのくらいの頻度でやるか、にも影響されます。
もしかなり頻繁にダイビングをする、例えば1か月に1回は必ず海に行くつもり、とかであれば、頻度は高い方ですのでレンタルよりも器材を購入したほうが割安になります。器材を購入する場合、何回潜ればレンタルの場合と比較して同等のコストになるかを確認し、買うかどうかを決める、というのが一般的です。
年に2-3回程度、しかも夏だけ。とかであれば、ほとんどの器材はレンタルで、最低限の器材を揃えるだけでも十分かもしれません。
レンタルの良いところは、最初に大きな投資をしなくてもダイビングを始められるところですが、快適性は自分の体に合ったものには劣ります。このあたりは良し悪しがありますので、自分のダイビングにかける気持ちと予算に応じて、どこに投資してどこを妥協するかを選択する必要があるかもしれません。
購入する場合、まずは比較的安価な初級~中級モデルでスタートして、揃えるパターンもありです。
色んなパターンがありますので、予算を確認して、信頼できるショップのスタッフとも相談して決めていくと良いと思います。
器材の価格の相場
ダイビングの器材には、軽器材と重器材、ダイビング用スーツ、その他の4つの種類があります。
まず、軽器材はマスクやフィンなどの基本的な器材で比較的安価なものです。価格は0.5-2万円が主流となります。
次に重器材ですが、これは浮力調整装置(BCD:Buoyancy Control Device)や呼吸用レギュレーターなどの構造が複雑で精密な部品が使われているものです。当然価格も高くなり、5-20万円となります。
そして、ダイビング用のスーツがあり、これにはウェットスーツとドライスーツの2種類があります。
最後にその他としては水中撮影用カメラハウジング(カメラを中に入れて水没しないようにする)やダイビング専用のインナーウェアなどがあります。
以下、それぞれの器材と価格の相場を記載します。
1.軽器材
スノーケル
価格帯:0.5万円~1万円
マスク
価格帯:1万~3万円 ※度入りレンズにすると+1~2万円
フィン
価格帯:1万円~3万円
ブーツ
価格帯:0.5~1万円
2.重器材(重器材は精密なので必ず専門家の意見を聞いて確認してから購入しましょう)
BCD:浮力調整ベスト
価格帯:5万円~
レギュレーター
価格帯:5万円~
ゲージ
価格帯:2万円~
オクトパス(予備のレギュレーター)
価格帯:2万円~
3. ダイビングスーツ(スーツは快適性を決める重要な器材なので必ず専門家の意見を聞いて確認してから購入しましょう)
ウェットスーツ
価格帯:5万円~
ドライスーツ
価格帯:10万円~
4.その他
水中撮影用カメラハウジング
価格帯:3万円~
水中撮影対応カメラ(水深10-30m)
価格帯:3万円~
ライセンス取得よりも前の器材購入は必須ではない
ライセンス取得より前に器材の購入は必須ではありません。
「でも、器材がないとダイビングできないじゃないか!」と思われるかもしれません。
しかし、実際にはレンタルするという選択肢があります。
ほとんどのダイビングショップやスクールでは器材レンタルのサービスをやっています。
まずはそちらでレンタルしてやってみるのが最初の選択肢です。
いやいや、何事も形から入りたいから買う!という人も多いのは事実。
この記事を書いているスタッフの私も形から入るタイプで、なんでも形から入りたい=器材や道具を揃えたい、と思ってしまいます。
しかし、ダイビングにおいては、形から入るスタイルはちょっと注意が必要なのです。
ダイビングの器材は、いわゆる「特殊器材」。値段もそれなりの価格で、しかも、調べてみると価格に幅が大きくあるのがわかります。
ここが落とし穴で、価格と性能は紐づいているのですが、価格によって性能全然違うのです。
しかし、全然違うかどうかが初心者にはとてもわかりにくい。
なので、どのくらいの価格帯のものを買えばいいのかが、とにかく判断しにくいのです。
ロードバイクであれば、安いものは10万円代でアルミ製のフレーム、その次が20万から40万円でカーボン製のフレーム、40万円以上は高級カーボン製フレームで空気抵抗も抑えられている、などの値段別に大きくちがうものの、おおよそ価格帯で判断できると言われています。
一方、ダイビング器材ではここまでの分かりやすさはありません。
ざっくり言うと、短期間体験するだけなら使えるようなすごく安いものと、ある一定以上の品質でダイビングで使えるもの、プロ仕様のもの、3段階くらいのレベルでは分かれています。この3段階の中でも大きく幅があり、本当にピンキリです。
しかし、本格的なダイビングをするなら、一定以上の品質の物を買わないと、快適なダイビングは不可能です。
まして事故にはならないにしてもリスクも伴います。
シャークアイに初めてダイビングに来られる方で、「インターネットで安かったので購入しました」とおっしゃる人もいます。目利きがきいていたり、誰か専門の方に相談されているならいいのですが、安いというだけで購入されている方では、あきらかに本格的なダイビングに合っていない器材をお持ちの方も少なくありません。これでは快適なダイビングは難しいと言わざるを得ません。
ライセンス講習では器材の使い方と性能を学びます。
それを知ってから購入されても全く遅くはないですし、信頼できるインストラクターに問い合わせるのがいいでしょう。
最初は、器材を選ぶ基準がわからない
ダイビングショップなどに行くと、それはそれはカッコイイ器材や可愛いウェットスーツなどがたくさん置いてあり、「ああ、あんなのを着て海に潜ってみたい!」と思ってしまいます。
この時、選ぶ基準は「色」や「形」、あと「値段」くらいですよね。
しかし、ダイビングにおいては器材は命を預ける重要な道具。
その「機能」にも十分に気を配る必要があります。
例えば、ウェットスーツ。
色がカワイくて、値段も安いし、サイズはちょっとキツイけどに着れるから大丈夫。
そんな基準で買っては絶対にいけません。
ウェットスーツには機能として、「体を冷えから守る保温機能」、「海の中で自在に動かせるための伸縮性」などがあります。実はゴム素材(ネオプレーンといいます)の厚みや内側の素材によって保温機能は大きく異なります。
保温機能は本当に、劇的に違います。
例えるなら、「水風呂に裸」で入るのと、「あれちょっとぬるいかなぁと思うお風呂」、「しっかり体が温まるお風呂」に入る、くらい違います。冗談ではありません。リアルに違います。
多くの方が思っているよりも、海の中では体の体温が奪われやすいです。
したがって、保温機能の性能が海の中の快適性を大きく左右します。
サイズもとても重要で、ゆるいと水が入ってきて水風呂状態、きついと温かいけど脱ぎ着のストレスもあります。
ウェットスーツを例にとりましたが、ダイビングを始める前は、どの器材についてもお店でみても良し悪しや違いがわからないんですよね。
お店のスタッフにちゃんと聞いて買うのが大事ですが、とはいえ、質問するにも知識が不足しています。
このような状態で購入するのは、以下の点でおすすめができないのです。
自分の体やダイビングスタイルに最適な器材が選べない。
店員さんに質問しようにも、質問するための知識が不足しており、話が噛み合わない。
店員さんの言うままになってしまうが、店員さんの知識や経験が不足していると一般論ですすめられることになり、自分にあっているかわからない。
場合によって、店員さんの言う通りに、自分には合っていないけど高いものを買ってしまい、最悪買い直すことになる。
したがって、ライセンス講習の前に必ず購入しなければいけないということもないし、最初は少し様子を見てみるのも一つの選択肢です。
まずはレンタルでもいいから、体験してみること
最初からの器材購入はおすすめできないのはこれまで述べてきたとおりです。
シャークアイでは最初はレンタルから始めることをお勧めしています。
確かに器材も大事なんですよ。そして欲しくなる気持ちもわかります。
でも、まずはダイビングってどんなもんなのか、体験してみることのほうが大事です。
経験に勝る学びはありません。それから器材購入でもまったくもって遅くないです。
経験を積めば、必ず自分にあった器材を買えるようになりますし、買い直しなどの無駄な投資もなくなります。
それと、ショップやスクールによっては最初から器材購入を勧めてきたり、器材購入が講習受講の前提条件になっているところもありますが、注意が必要です。器材がないとダイビングはできませんが、器材を”購入しないと”ダイビングができないということはありません。
ここは自分にあった器材の前に、まずはダイビングやってみる気持ちの方を優先させましょう。
もし、それでもダイビングの前に器材が欲しい!と思ったら、その時は慎重にダイビングショップを選び、信頼できるスタッフから購入するようにしましょう。
器材もBCDやレギュレーター、ウェットスーツなどの高価な器材と、フィンやマスクなどの比較的安価な器材に分かれます。比較的安価なほうは最初から揃えてみるのもありです(シャークアイでも軽器材と呼ばれるこれらの安価なほうは最初からでも場合によって購入していただいています)
それでも、最初は買わなくても全然大丈夫です。
まずはダイビングの世界を体験すること。それが何よりも大事なのですから。