ダイビングってどれくらいの深さと時間潜るの?:ダイビングのよくある質問Vol.3

スキューバダイビングでよくある質問に、ダイビングスクールのインストラクターがお答えするコーナー第3弾は「ダイビングの潜水時間と潜水深さ」です。

潜水時間とは、ダイビングで水面から水中に入った時をスタートとして、最後陸上に上がってくるまでの時間のことを指します。潜水時間はダイビングの安全のためにもよく理解しておく必要があります。また、潜水時間により体に受ける影響は当然のことながらことなりますが、潜水するときの水中の圧力によっても異なります。圧力は深度により異なりますので、深度の管理も非常に重要ということになります。

「ダイビングライセンスを取ろうと思うんですが、実際のダイビングではどれくらいの時間潜っているのですか?」

「また、どれくらい深くまで潜るものなんですか?全然想像がつかなくて不安です。。。」

そんな声にお答えして、今回は潜水時間と潜水深さについてお答えしたいと思います。

潜る深さは18-30m

レジャーダイビングでの潜水する深さは最初は18mまでとなります。これはオープンウォータースクーバダイバー(OW)と呼ばれるエントリーレベルのダイビングライセンスを取得したときに潜ることができる深さとなります。

その次のランクとしてアドバンスドオープンウォータースクーバダイバー(AOW)になると、様々なことを学び、実習も受けた上で、30mまでのダイビングが可能となります。

ちなみにディープダイビングというスペシャリティライセンスを取得すると40mまで潜水することができるようになります。ただ、実際の一般のダイビングでは30mより深いところにはあまり行かないことが多いです。

その理由は「深すぎるとリスクが高くなる」からなんです。

深いところでのダイビングのリスク

ダイビングではタンク内に空気があってそれが続く限り、どこまでも潜れそうなイメージを持っている方も少なくはありません。ジャック・マイヨールなどのようにスキンダイビングではかなり深いところまで潜りますが、あのダイビングとレジャーダイビングは大きく異なります。

スキューバダイビングでは、実はどこまでも深く潜れるわけではありません。

30mよりも深いところでは特に顕著になってきますが、窒素酔いという現象が、現れる場合があります。「窒素酔い」というのは実際には古い表現で、正確にはガス昏睡と呼ばれる症状のことで、ダイビングで利用するタンクの中の空気に含まれる窒素が体内に溶け込む量が大きくなることの影響で意識がぼやっとしてきたり、浮上するときに減圧症という症状がでやすくなったりするリスクが高まります。

この症状は人により現れる頻度や条件も異なりますし、症状自体も高揚感のような気持になる場合から不安増大などのいろいろなパターンがあります。しかし、アドバンスド・オープンウォーターダイバー講習やディーブダイバーの講習で集中的に習うことで十分危険性を理解きます。

いずれにしても、そのような理由からダイビングで潜ることができる深さというのには制限があるのです。またダイビングライセンスのランク毎に潜水可能な深さが異なる理由の一つには、深さに対する対応力にレベルの差があるから、ということが挙げられます。

ダイビングスクールでしっかり学ぶ理由の一つとしてこのようなリスクに対する対応力を身につけることができるため安全性が高まります。

どのくらいの時間潜っているのか?

ではどのくらいの時間潜っているのかということですが、ダイビングの1本あたりの潜水時間は30-45分が基本になりますが、その長さを決める要素は以下の点があげられます。

  1. 潜水する深さ(最大深さと平均深さの両方を管理します)
  2. 潜水する場所の違い(流れがあるか、観察したい生物や地形のある場所の深さなど)
  3. 潜水する水温や気温
  4. ダイバーのレベル

1.潜水する深さ

時間の設定はこれまでに述べてきたダイビング可能な深さによる影響によって変わります。
18mまでですと、その日の1ダイブ目の潜水時間は最大40分となっており、30mまでのダイビングだと最大30分くらいになります。
これは深いところに長時間いると先ほど述べた体への影響が強くなるためです。つまり、潜る時間というのは潜る深さと連動して決まってくるのです。

2.潜水する場所の違い

ダイビングの目的は、水中世界と水中生物を楽しむことなので、その生物がどんな場所にいるかによってダイビングプランを考えることになります。
深い場所にしかいないような生物なのか、それとも岩場ではなく流れがあるような場所にしかいないのか、透明度の高いところにはいないが低いところにはいるというパターンもありますので、その生物の生態に合わせて検討する必要があります。

3.潜水する水温や気温

また、水温や気温により潜水時間を変更することもあります。温かい水温や気温の場合は汗をかきすぎることもありますので短くする場合もありますが、低い水温や気温の場合は体が冷えたり、トイレが近くなったりすることがあるのでダイビングの時間は短く設定されることがあります。

4.ダイバーのレベル

潜水するダイバーの経験や知識のレベルに応じてもダイビング時間は変化します。
オープンウォーターダイバーレベルであれば、より短いダイビング時間を選択することになりますが、このランクでも浅場であれば長い時間ダイビング出来るとも考えられますので、深さとの関係性も考慮します。

より経験値が上がり、ダイビングのライセンスランクもプロに近いものになればなるほど、水中で自分とバディで管理しながらダイビングできますので長い潜水時間になる場合もあります。それでも深い場所に比較的長い時間留まるようなダイビングは生理的に制限されますので、この点はダイバーのレベルよりも体の生理的な機能からの限界が優先となります。

なお、オープンウォーターダイバーでは18mまで、アドバンスド・オープンウォーターダイバーは30mまで、ディープダイバースペシャリティコースを受講された方は40mまでの潜水が可能です。

とにかく無理しない範囲でダイビング計画を設定する

これまで述べてきたように、ダイビングで潜る深さと潜る時間の設定は様々なことを検討しながら決めていきます。

このようなダイビング計画もダイビングライセンス取得コースの中で学んでいきます。
とにかく無理をしない範囲でダイビング計画を設定することが重要となります。